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Skill v1.0.0

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PublishedSeptember 28, 2026 at 03:48 AM
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version: "1.0.0" name: llm-integration description: プロダクトへのLLM機能組み込みを体系的に進めるスキル。ユースケース適合性の判断からプロンプト設計・評価(eval)・コスト管理・セキュリティまでをカバーし、「動くが壊れやすい」実装を避ける。


LLM機能のプロダクト組み込み

目的

LLMをプロダクトに組み込む際の判断と実装を体系化する。「とりあえずAPIを叩く」段階から、eval・信頼性・コスト・セキュリティまでを設計の一部として扱えるチームを支援する。

使うタイミング

  • 新機能にLLMを使うか判断したいとき
  • プロンプトを本番に投入する前のレビュー・品質担保
  • 既存LLM機能のコスト・品質・安全性を改善したいとき
  • LLM機能の設計ドキュメントをレビュー・作成するとき

進め方

  1. ユースケース適合性を判断する — LLMが向く処理かどうかを先に問う。普通のコードで書けるならLLMを使わない
  2. LLM機能設計シートを書く — 下記テンプレートを埋める。曖昧なまま実装に入らない
  3. プロンプトを設計・バージョン管理する — 役割・入力・制約・出力形式を明示し、Gitで管理してテスト対象にする([[git-workflow]])
  4. evalデータセットを作る — 最低20件の代表的な入力と期待出力を用意する。これが品質の基準線になる
  5. 信頼性設計を実装する — バリデーション・リトライ・タイムアウト・フォールバックをコードに組み込む
  6. コストを試算・モニタリングする — 本番投入前にリクエスト数×トークン×単価を見積もり、監視とアラートを設定する([[monitoring-operations]])
  7. セキュリティレビューを行う — プロンプトインジェクション・PII送信・出力の無検証実行を確認する([[security]])
  8. UXに不確実性を反映する — 下書き提示・編集可能・フィードバック収集を設計に含める

設計の要点

ユースケース適合性

LLMが向く処理と向かない処理を最初に区別する。

向く処理向かない処理
非構造データの構造化・抽出厳密な計算・集計
要約・分類・ラベリング決定的であるべき処理(金額計算など)
自然言語UI・対話低レイテンシ必須(100ms以下)
文書生成・変換ルールが完全に明文化できる処理

判断基準: 「正規表現やテンプレートで実装できるか?」「失敗時のコストは?」「人間が見てもバラつく判断か?」の3問に答えてからLLMを選択する。

プロンプト設計

  • 4要素を明示する: 役割(あなたは〜)・入力(ユーザーデータの形式)・制約(禁止事項・長さ・言語)・出力形式(JSONスキーマを明示)
  • 構造化出力を使う: JSON Schemaを指定してパース失敗を減らす。フリーテキスト出力は検証が困難
  • few-shot例を入れる: 2〜5件の入出力例で品質が大きく変わる。境界ケースを例に含める
  • プロンプトはコードとして管理する: ファイルに外出しし、変更をGitでトラッキングしてevalを通す。インラインの文字列リテラルにしない
# プロンプトファイルの構成例
prompts/
classify_feedback/
system.txt # システムプロンプト
examples.json # few-shot例
schema.json # 出力JSONスキーマ
eval_dataset.jsonl # evalデータセット

評価(eval)

「触ってみて良さそう」は評価ではない。変更のたびに数値で回帰を検知する。

  • evalデータセット: 代表的な入力20件以上+正解ラベル。境界ケース・失敗しやすいケースを意図的に含める
  • 合格基準を先に決める: 「精度90%以上」「拒否率5%以下」など定量的に設定する
  • LLM-as-judge: 完全一致で採点できないタスクは別のLLMに採点させる。採点プロンプト自体もバージョン管理する
  • 定期的な人間の抜き取り検査: LLM-as-judgeの採点精度自体を週次・月次で確認する
  • CI/CDに組み込む: プロンプト変更のPRでevalが自動実行され、合格基準を下回ればマージ不可にする

信頼性

  • スキーマバリデーション: LLMの出力をJSONスキーマで検証。失敗したら即リトライ(最大2〜3回)
  • タイムアウト: LLMコールには必ずタイムアウトを設定する。デフォルト30秒を目安に
  • フォールバック: LLM失敗時の代替動作を設計する(エラー表示・ルールベース処理・人間への引き継ぎ)
  • レートリミット対応: 指数バックオフ付きリトライ。同期処理ではなくキュー経由にすることも検討
  • ストリーミング: レイテンシが体感上問題になるなら最初のトークンから表示する。生成中のUIを設計する

コスト

  • タスク難易度に応じて最小モデルを選ぶ: [[orchestration]] のモデル委譲と同じ思想。全タスクに最上位モデルを使わない。分類・抽出など定型タスクは軽量モデルで十分なことが多い
  • プロンプトキャッシュを使う: システムプロンプトや固定のfew-shot例をキャッシュし、繰り返し課金を減らす
  • トークン使用量の監視: リクエストごとの入出力トークン数をログに記録し、異常なスパイクにアラートを出す([[monitoring-operations]])
  • ユーザーあたりの利用上限: 1日・1ヶ月のトークン上限をユーザーごとに設け、過剰利用を防ぐ
  • 本番投入前に試算する: 月次リクエスト数 × 平均トークン数 × 単価 を必ず計算してから設計を確定する

セキュリティ

  • プロンプトインジェクション対策:
  • ユーザー入力をシステムプロンプトに直接結合しない
  • システム指示とユーザーデータを構造的に分離する(XMLタグやJSONラッパーで囲む)
  • LLMに与えるツール・権限を最小化する(必要なツールだけを公開)
  • PII送信ポリシー: 氏名・メールアドレス・健康情報など個人情報を外部APIに送ってよいか、法務・プライバシーポリシーと照合する。必要なら匿名化・マスキングを挟む
  • 出力の無検証実行禁止: LLMが生成したSQL・シェルコマンド・コードを直接実行しない。ホワイトリスト検証またはサンドボックスを必ず挟む
  • ログのマスキング: LLMへのリクエスト・レスポンスをログに記録する際、PII・機密情報をマスクする

成果物テンプレート

yaml
# LLM機能設計シート
## 基本情報
feature_name: ""
author: ""
date: ""
## ユースケースと適合性判断
use_case: "" # 何をLLMにやらせるか
why_llm: "" # なぜ通常のコードではなくLLMか
failure_cost: "" # 失敗時の影響範囲
## モデル選定と根拠
model: "" # 選定モデル
reason: "" # 選定理由(コスト・品質・レイテンシのトレードオフ)
fallback_model: "" # フォールバック時のモデル(コスト削減版など)
## プロンプト管理
prompt_path: "" # リポジトリ内のパス
version_control: git # Git管理前提
output_schema_path: "" # JSONスキーマのパス
## evalデータセットと合格基準
dataset_path: "" # .jsonlファイルのパス
dataset_size: 0 # 件数(最低20件)
acceptance_criteria: "" # 例: 精度 >= 90%、拒否率 <= 5%
judge_method: "" # exact_match / llm-as-judge / human
## 信頼性設計
timeout_sec: 30
retry_max: 3
fallback_behavior: "" # LLM失敗時の代替動作
## コスト試算
monthly_requests: 0
avg_input_tokens: 0
avg_output_tokens: 0
unit_price_per_1k_tokens: 0.0
monthly_cost_estimate: 0.0 # 上記から計算
token_limit_per_user: ""
## セキュリティ
user_input_isolation: "" # ユーザー入力の分離方法
pii_policy: "" # PII送信の可否と根拠
output_validation: "" # 出力検証の方法(DBに保存する前・実行する前)

チェックリスト

設計フェーズ

  • [ ] 普通のコードで実現できないか検討した
  • [ ] LLM機能設計シートを記入した
  • [ ] evalデータセット(20件以上)を用意した
  • [ ] 合格基準を数値で定義した
  • [ ] フォールバック動作を設計した
  • [ ] コスト試算を行った

実装フェーズ

  • [ ] プロンプトをファイルに外出ししGit管理している
  • [ ] 出力をJSONスキーマでバリデーションしている
  • [ ] タイムアウトとリトライを実装した
  • [ ] ユーザー入力をシステムプロンプトと分離している
  • [ ] PII送信ポリシーを確認した
  • [ ] LLM出力を無検証で実行・保存していない

リリース前

  • [ ] CIでevalが自動実行される
  • [ ] トークン使用量の監視・アラートを設定した
  • [ ] ユーザーあたりの利用上限を実装した
  • [ ] UXに不確実性が反映されている(下書き提示など)
  • [ ] フィードバック収集の仕組みを実装した([[analytics-kpi]])

アンチパターン

アンチパターンなぜ問題か代替
evalなしでプロンプトを「雰囲気で」改善ある入力で改善しても別の入力で劣化に気づかないevalデータセットで定量的に回帰検知
全タスクに最上位モデルを使うコストが数倍〜数十倍に膨らむタスク難易度に応じたモデル選択
ユーザー入力をシステムプロンプトに直結合プロンプトインジェクションの温床構造的分離+入力サニタイズ
LLM出力を無検証でDB保存・実行不正データ挿入・任意コード実行のリスクバリデーション・サンドボックスを必ず挟む
レイテンシとコストを見積もらずに本番投入ユーザー体験の悪化・予算オーバー設計シートで事前試算
エラー時に「AI機能が使えません」のみ表示ユーザーが何もできなくなるフォールバック動作で基本機能は継続

モデル委譲ガイド

共通原則は [[orchestration]] を参照。

役割担当タスク
司令塔(メインモデル)ユースケース適合性の判断、モデル選定の意思決定、設計シートのレビュー指示
Opus相当プロンプト設計のレビュー、evalデータセット品質の判定、LLM-as-judgeプロンプトの設計レビュー
Sonnet相当プロンプトの実装・改善、evalデータセットの作成、パイプライン実装、コードレビュー
Haiku相当出力サンプルの大量収集、一次分類・タグ付け、evalデータの前処理

関連スキル

  • [[orchestration]] — マルチエージェントとモデル委譲の共通原則
  • [[security]] — プロンプトインジェクション・PII・出力検証の詳細
  • [[monitoring-operations]] — トークン使用量監視・アラート設計
  • [[analytics-kpi]] — フィードバック収集・改善指標の設計
  • [[git-workflow]] — プロンプトのバージョン管理
  • [[api-design]] — LLMをAPIとして公開する場合の設計
  • [[testing]] — evalをCIに組み込む
  • [[performance-optimization]] — レイテンシ改善・ストリーミング最適化
  • [[architecture-design]] — LLM機能をシステム全体に組み込むアーキテクチャ設計
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